小売店や飲食店などでの会計時、従来のレジとは違った「POSレジ」を目にする機会が増えてきました。
レジシステムの入替・改修を予定している事業者のなかには、POSレジの導入を検討している方もいらっしゃるのではないでしょうか。
こちらの記事では、POSレジとはどのようなレジシステムなのか、導入することによってどういったメリットが期待できるのかといった情報をお伝えします。
目次
軽減税率に対応するためにもPOSレジの導入を
近年POSレジが急速に普及してきている背景には、2019年10月に開始予定の軽減税率制度があります。
軽減税率制度が始まることで、従来の固定税率から8%と10%の複数税率となります。そのため、複数税率に対応していない会計システムを使用している企業や店舗は、複数税率対応のレジシステムの導入・改修が必要です。
多くの中小企業・小規模事業者にとって、レジシステムの導入・改修は小さな負担とは言えません。そこで活用したいのが、軽減税率対策補助金です。
軽減税率対策補助金とは、中小企業・小規模事業者が軽減税率に対応するためにレジシステム等を導入・改修する際の費用を補助する制度であり、POSレジの導入・改修も補助の対象となります。
後述するメリットも考慮すると、軽減税率への対応も兼ねてPOSレジの新規導入を検討するべきだと言えます。
POSレジと従来のレジの違いとは?
「POSレジを導入する店舗が増えてきたのは知っているけれど、従来のレジとの違いは知らない」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
次は、POSレジとはどのようなものなのか、そして従来のレジスターとはどういった違いがあるのかを確認していきましょう。
POSシステムとは
POSレジの説明の前に、まずは「POSシステム」についてご説明します。
POSシステムは主にレジ端末などに利用されるシステムのことで、POSとは「Point of sales(販売時点)」の頭文字をとったものです。
POSシステムは、商品を販売した時点で発生するさまざまなデータを記録・分析する機能をもっています。また、商品情報をデータベース化し、簡単な操作で会計処理を行えるほか、在庫管理や予約管理、従業員の勤怠管理といった機能を有しているPOSシステムもあります。
POSレジはPOSシステムが導入されたレジ
POSレジとは、その名の通りPOSシステムの機能を持つレジシステムを指します。
従来のレジスターの主用途である現金管理や会計処理といった機能に加え、POSシステムの各種機能を使用することが可能です。
POSレジは大きく3種類に分類することができ、従来のレジスターに近い形態・使用感の「ターミナルPOS」、パソコンと周辺機器を組み合わせて使用する「パソコンPOS」、iPadやAndroidなどの端末と周辺機器を組み合わせて使用する「タブレットPOS」があります。
とくにタブレットPOSが登場したことによって、低予算・省スペースでもPOSレジを導入しやすくなりました。
POSレジ導入のメリット
次は、POSレジを導入することのメリットについて確認していきましょう。
POSレジを導入することで、具体的にどのようなメリットや活用方法が考えられるのでしょうか。
データの収集・分析
POSレジの最大のメリットは、販売時に発生するさまざまなデータを収集できる点です。
「いつ、どの商品が、何個、いくらで売れたのか」といったデータを記録することができ、収集したデータを分析することで、売れ筋商品や死に筋商品などの販売傾向を把握するのに役立ちます。
販売傾向の把握は、在庫の適正化や商品ラインナップ改善のためにも重要です。
業務の効率化
2019年10月の軽減税率導入以降、8%(軽減税率)と10%(標準税率)が混在することで、会計業務の複雑化が予想されます。
POSレジでは、各商品の適用税率を登録しておくことができ、会計時の手入力や操作を最小限にすることが可能です。そのため、会計業務をスムーズに行うことができ、お客様の待ち時間短縮や満足度向上につながります。
また、販売データが記録されているため、売上金額や出庫数などを自動で集計することができ、レジ締め作業の負担軽減にもなります。
ヒューマンエラー・不正の防止
先述の通り、POSレジでは商品情報を事前に登録しておくことができるため、手動での入力作業を少なくすることができます。そのため、手入力による金額の打ち間違えなどのヒューマンエラー防止につながります。
また、誰が会計を担当したのかといった記録を残すこともできるので、従業員の不正防止にも役立ちます。
売上の一元管理
複数店舗の売り上げを一元管理できる点もPOSレジのメリットだと言えます。
POSレジでは販売時に発生するさまざまなデータを記録することができますが、各店舗のPOSシステムをネットワークで結びつけることで、それぞれの店舗の販売状況をリアルタイムに把握することが可能なのです。
POSレジにもデメリットはある?事前に覚えておきたいポイント
多くのメリットがあるPOSレジですが、導入前に確認しておくべき事項もあります。
事前に注意点やデメリットを把握しておくことで、導入後にスムーズに活用することが可能になります。
では、POSレジ導入時に注意したいポイントを確認していきましょう。
ネットワーク環境が必要
POSレジ導入の際に注意したいポイントのひとつが、ネットワーク環境が必要な点です。
現金管理や会計処理のみを行う従来のレジはネットワークへの接続が不要ですが、POSレジの場合は各種データを収集・管理するためにネットワーク環境・Wi-Fi環境が必要になります。
ネット接続が不安定な場合、POSレジのメリットであるデータ活用ができない、あるいは会計業務が滞ってしまう可能性があります。
そのため、POSレジを導入する場合には、ネットワーク環境・Wi-Fi環境の整備も併せて実施することになります。
ただし、データ通信SIMがセットになったタブレットPOSなどであれば、店舗側でネットワーク環境を整えなくても各種機能を使用することが可能です。
目的に応じて必要な機能を見極めることが必要
一口にPOSレジと言っても、各ベンダーからさまざまな特徴を持つPOSレジサービスが提供されています。
業種や営業形態が異なれば、必要になる機能も変わってきます。営業実態に合っていないPOSレジを導入してしまうと、余計なコストが発生してしまうケースや、必要な機能が備わっていない、あるいは多機能すぎて使いこなせないなどの問題が発生する可能性があります。
そのため、自社・自店舗に必要な機能をしっかりと見極めたうえで、目的に合ったPOSレジを選択する必要があります。飲食店向けやサロン向け、さらにはスイーツ店に特化したPOSレジサービスなどもあるので、業種に特化したPOSレジサービスを選択するのも一策です。
補助金の対象かどうか要チェック
軽減税率対策補助金を利用してPOSレジを導入する場合には、事前に補助金の対象条件や申請期日を確認しておく必要があります。
補助金を申請できるのは、現在および今後も継続して軽減税率対象品目を取り扱う中小企業・小規模事業者であり、軽減税率対策補助金事務局によって指定された製品・サービスのみ補助の対象となります。
また、原則として2019年9月30日までに導入・改修を終え、支払いが完了したものが支援対象であり、2019年12月16日までに申請を行う必要があります。申請方式によっては「交付申請」と「完了報告」の2段階申請となるケースもあるので、事前に確認しておきましょう。
関連記事:軽減税率対策補助金の内容やその対象は?
POSレジ導入で軽減税率に対応&業務効率を改善しよう
今回は、近年急速に普及しつつあるPOSレジについて、その特徴やメリット、導入前の注意点についてご紹介しました。
POSレジは、軽減税率導入後の会計業務に対応できるだけでなく、データを活用することで業務改善にも役立てることができます。また、条件を満たす場合には、軽減税率対策補助金を活用して導入することも可能です。
今回ご紹介した情報も参考に、POSレジの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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