インターネットが普及した現在、企業がマーケティングにインターネットを活用することはもはや当たり前の時代になりました。なかでも近年では、誰でも参加することができ、気軽に情報を発信できるソーシャルメディアを多くの企業が活用しています。では、ソーシャルメディアとはいったいどのようなもので、活用することでどのようなメリットがあるのでしょうか。
今回は、ソーシャルメディアについての基本情報と、企業がソーシャルメディアを活用することで得られるメリットについてご紹介します。
目次
ソーシャルメディアを活用する企業が増えている
インターネットを用いたマーケティングが活発になっている現在、ソーシャルメディアを活用している企業はどれくらいあるのでしょうか?総務省が公表している「平成28年通信利用動向調査」では、インターネットを利用している企業のうち、ソーシャルメディアを活用している企業は全体の22.1%にのぼり、産業別では「金融・保険業」では34.1%、「卸売・小売業」では29.7%、「サービス業・その他」で27.8%となっています。
同調査によると、ソーシャルメディアを活用する目的や用途として、「商品や催物の紹介、宣伝」が最も多く、「定期的な情報の提供」や「会社案内・人材募集」も多いことがわかりました。
参照:統計調査データ:通信利用動向調査:報告書及び統計表一覧(企業編)
このように、現在ではさまざまな目的で多くの企業がソーシャルメディアを活用しているのです。
ソーシャルメディアとSNSの違いは?
多くの企業が活用しているソーシャルメディアですが、そもそもソーシャルメディアとはどういったものなのでしょうか。SNSと混同されがちなソーシャルメディアですが、じつはこの2つは同じものではありません。では、ソーシャルメディアとSNSはそれぞれどういったものなのかを確認しておきましょう。
ソーシャルメディアは双方向性の情報メディア
ソーシャルメディアとは、テレビやラジオ、新聞などのメディアと同じように情報を伝達する媒体で、インターネット上で展開されるメディアを指します。
テレビやラジオなどの従来のメディアとの大きな違いは、インターネットの特性を反映した「双方向性」にあると言えます。つまり、ソーシャルメディアにおいて情報の受信者は、同時に情報の発信者でもあります。
従来のメディアが情報を一方的に発信するのに対し、ソーシャルメディアでは相互に情報を発信できるのが大きな特徴であり、情報が蜘蛛の巣のように拡散していくのもソーシャルメディアならではの現象だと言えるでしょう。
SNSは人とつながることを目的としたサービス
では、SNSとはどういったものなのでしょうか。SNSは「Social Networking Service(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」の頭文字を取ったものであり、「ネットワーキング」という言葉から推察できる通り、「人とつながることを目的とした」サービスだと言えます。
つまり、共通の趣味や志向を持つ人同士がつながり、関係を構築していくことに特化しているのが特徴であり、代表的なSNSとしてFacebookやTwitter、Instagramなどが挙げられます。
SNSはソーシャルメディアの一部
では、ソーシャルメディアとSNSはどういった関係性なのでしょうか。簡潔に言えば、ソーシャルメディアという大枠の中に、SNSが存在しています。つまり、ソーシャルメディアはFacebookやTwitter、Instagramのほかにも、ブログや動画共有サイト、ECサイトの購入者評価欄などを含んでおり、SNSはソーシャルメディアの一部だと言えます。
ソーシャルメディアを活用するメリットとは
では、ソーシャルメディアがどういったものかを確認したところで、ソーシャルメディアを企業が活用することのメリットを見ていきましょう。ソーシャルメディアの特性を把握した上で上手に活用しましょう。
ユーザーと容易にコミュニケーションを取ることができる
企業がソーシャルメディアを活用するメリットとして、ユーザーと容易にコミュニケーションを取ることができる点が挙げられます。企業側が発信した情報に対するユーザーの反応を確認することができ、ユーザーのニーズを把握しやすいと言えるでしょう。
また、ユーザーと直接コミュニケーションを図ることができるため、企業に対する親近感や相互理解が生まれやすいのも特徴だと言えます。こうしたコミュニケーションで信頼関係を築くことで、企業のファン増加につなげることができます。
製品やサービスの改善に活用することができる
ユーザーとのコミュニケーションを図ることができるソーシャルメディアを上手に活用することで、製品やサービスの改善に役立てることができます。企業が発信した情報に対して、ユーザーは好意的な意見だけでなく、不満や要望を発信することがあります。
そういったユーザーの声にもしっかりと耳を傾けることで、製品やサービスの改善に役立てることができるかもしれません。
拡散されることで認知度の向上につながる
情報の拡散力もまた、ソーシャルメディアを活用するメリットの一つです。企業が発信した情報に共感、あるいは興味を持ったユーザーが情報をシェアすることによって、季語湯が想定していなかった層まで情報が拡散されることがあります。
情報が拡散されることによって、企業の存在を知らなかったユーザー層に存在を認知してもらえる可能性があるというのも、ソーシャルメディアを活用することの大きなメリットだと言えます。
リアルタイムに情報を発信できる
プレスリリースやホームページの更新にくらべて手軽に情報を発信でき、タイムリーな情報を周知しやすいという点もソーシャルメディアのメリットです。期間限定のキャンペーンやイベントの情報などをリアルタイムに発信できるだけでなく、メルマガやホームページの更新に比べて労力が少なく済むというメリットもあります。
費用対効果が高い
FacebookやTwitter、Instagramなど、多くのソーシャルメディアは無料でアカウントを取得することができます。企業のアカウントも簡単な設定で開設できるので、費用をかけずに情報発信の場を設けることができるというメリットがあります。
さらに、ソーシャルメディアで獲得したファンがホームページへ流入する可能性もあるので、上手に活用することで費用をかけずに集客を狙うことも可能です。
ソーシャルメディア活用の成功事例
経済産業省では、ソーシャルメディアを企業が活用するためのノウハウやヒントの提供を目的として、「ソーシャルメディア活用 ベストプラクティス」を公表しています。ここでは、ソーシャルメディア活用 ベストプラクティスの中で紹介されている活用事例の一部をご紹介します。
参照:企業のソーシャルメディア活用に関する調査報告書を取りまとめました(METI/経済産業省)
花王のソーシャルメディア活用事例
洗剤やトイレタリー、化粧品などを販売する化学メーカーである花王は、ソーシャルメディアを活用して顧客からの信頼獲得に取り組んでいます。花王は、消費者同士が質問と回答をし合うQ&Aサイトである「Yahoo!知恵袋」で、2015年3月に公式アカウントを開設しました。
Yahoo!知恵袋でやり取りされている質問の回答の中には、適切でない回答が投稿されているケースがあり、質問者にとって役立つ生活情報を発信する目的で公式アカウントを開設しました。「洗濯」や「掃除」、「スキンケア」といったカテゴリに投稿された質問や、「花王」というキーワードを含む質問の中から回答可能な質問を絞り込んで回答を行っています。
こうした回答は、消費者のブランド好感度の向上につながるだけでなく、花王の回答に関心を持ったユーザーによって拡散され、話題を集めたというケースも実際にあるようです。
カルビーのソーシャルメディア活用事例
人気スナック菓子「じゃがりこ」などで知られるカルビー株式会社もまた、ソーシャルメディアを活用している成功事例を言えます。カルビー株式会社は、2007年に会員制のファンサイトを開設し、商品を購入してくれるファンの育成やファン参加型の商品開発企画を行っています。
特にファン参加型の商品開発企画は、ソーシャルメディアならではの企画だと言えるでしょう。この企画は、ファンサイト内で食べて見たい新しい味のアイデアを募集し、応募案の中から実現可能なアイデアをピックアップして、その中からユーザーの投票で人気を集めたアイデアを商品化するというものです。
2009年2月に発売された「カルボナーラ味」に始まり、2017年2月には9作目となる「青しそチーズ味」が発売されていて、ユーザーの声を上手に取り入れたソーシャルメディアの活用事例と言えるでしょう。
ソーシャルメディアを活用しよう!
今回は、ソーシャルメディアについての基本情報と、ソーシャルメディアを活用することで得られるメリットをご紹介しました。スマートフォンやタブレットの普及率が年々増加している現在、ソーシャルメディアの可能性はさらに広がることが予想されます。
手軽に情報を発信することができ、ユーザーと互いにコミュニケーションをとることができるソーシャルメディアを上手に活用することで、さまざまなメリットを得ることができます。
今回ご紹介した情報も参考に、ソーシャルメディアの活用を検討してみてはいかがでしょうか。